矯正治療について

はじめに

 うけ口、出っ歯、八重歯、乱杭歯、すきっ歯などのような悪い歯ならびを治すのが、矯正歯科治療です。歯ならび、さらに口もとや顔の形を整え、上と下の咬み合わせを良くすることによって、食物を良く咬めるようにすることを目的とする医学です。
 歯が正しく咬み合わないと、食物は良く咬めません。その結果、胃や消化器官の負担を大きくします。また、乱れた歯ならびはハミガキがしづらいため、虫歯や歯ぐきの病気にかかりやすくなります。さらに、歯ならびの悪いことは発音にも関係しますので、劣等感をもたせることにもなります。歯並びや良い歯の噛み合わせは身体の健康を左右し、しっかり噛んで美味しく食事を頂けば、身体の血となり肉となり、勉強やスポーツなどで頑張る力や集中力にも大きく影響します。

矯正治療を始める年齢

矯正治療には適切な開始時期があります。大きく分けると、前歯がはえ変わる頃と、永久歯にすべて交換してからの2つの時期になります。
混合歯期(第1期治療期)に治療の対象となるのは、小学生の時
  1. 顎の骨の発育異常に関係するもの、たとえば、ひどいうけ口や出っ歯の方。
  2. 歯ブラシを上手に使用しても清掃ができないくらいひどい乱杭歯。
  3. 顎の運動に障害をおこすような歯ならびの異常。
  4. 指しゃぶり、舌突出癖など歯ならびや発音に影響がある癖は早めに治しましょう。
永久歯期(第2期治療期)には、中学生以後、すべての歯ならびの異常が治療の対象となります。
骨格にあまり異常がなく、歯のならびがデコボコであるとか、八重歯であるという様なものは、この時期まで待ってから治療を始めて充分に間にあいます。
つまり、この時期が本格的な矯正治療の時期といえます。治療器具も複雑となり、2年前後かかって治療することになります。
 また、第1期治療をうけた方の多くは、この第2期で仕あげの治療をします。
このように歯ならびについては、一般の病気についてよく言われる早期発見、早期治療は、必ずしもあてはまりません。
 治療時期はいつ頃が適当であるかを知るためには、専門医にまず相談をすることです。そして必要ならば、治療開始まで、定期的なチェックを受けることにより効率のよい治療が受けられます。
 最近は部活や受験勉強が忙しくて、高校を卒業するまでに矯正治療を受けることができなかったため、大学生や社会人になってから矯正治療を受ける方が大変多くなっています。
 大人になってからでは矯正治療はできないと思っている方がいますが、骨や歯に問題がなければ40歳、50歳でも歯は動きます。もう無理だと思っていた方もご相談下さい。

医療費控除について

 矯正治療費は、高校生までは成長発育等の問題もあり、基本的に医療費控除の対象となります。大人の場合は、咬めないとかしゃべりにくい、顎関節症など機能的に問題がある場合に認められます。医師に診断書をもらい、確定申告書に添付すると良いでしょう。当科発行の領収書やレシ-トは必ず保管しておいて下さい。